外国人の在留資格・ビザ申請専門・届出済み行政書士の佐々木健一事務所です。名古屋入管(名古屋出入国在留管理局)エリアを中心に相談、書類作成を行っております。
私たち行政書士は、土地の登記に直接関わることはできませんが、相続に関するご相談もございますので、取り上げてみました。
「土地登記は相続3年内に、違反なら過料 法制審答申」と日経新聞さんは報じております。
相続から3年以内に申請しなければ10万円以下の過料を科すとしており、土地の有効活用の弊害(所有者不明や所有者と連絡がつかないなどの)対策であり、政府は2023年度に施行するとしている。
法制審の民法など改正案は次の通り(日経新聞記事より)
◇相続時の登記を義務化
・取得を知ってから「3年以内」に登記申請→違反すれば10万円以下の過料
・10年間、遺産配分未定なら法定割合で分割
・住基ネットで行政が死亡情報を登記
・死亡者が名義人の不動産一覧を行政が発行。
◇土地の所有権を放棄しやすく
・建物や土壌汚染がなければ国庫に返納可
・審査手数料と管理負担金を納入
◇住所・氏名変更 法人の移転登記も義務化
・2年以内に申請→違反すれば5万円以下の過料
・本人意向を確認後、行政が登記変更可
・海外居住者は国内連絡先に記載
◇所有者不明の土地・建物を活用
・公告を経て他の共有者で管理や変更も
・補修や短期の賃貸借を共有者の過半数で決定
・裁判所の許可で管理人を選べば売却も
現在、相続が発生しても登記は義務となっていない。
つまり、申請しなくても罰則はないのである。
相続人にあまり得にならないと思えば放置しているケースが多いのだ。
さらに相続が重なると所有権の把握が難しくなるのは当たり前である。
放置されている土地・建物は、ごみが不法投棄されたり、不良の溜まり場になったりと迷惑地となっていることも多いのが現状である。
しかしである、相続登記を義務化してこの問題は解決されるのであろうか?
10万円の罰則ぐらいでは、また、相続権を知らないままの場合もあるだろうし、すでに困難な状態でもあるしと考えてしまう。
このことを解消するために、1人での申し出でOK、10年間無届出あれば法定相続にするなどとしてはいるが、こちらもどうなのでしょう。
記者は、新たな所有者不明土地が生まれることを抑える効果はありそうだとしている。一方で、引き続き放置される土地を懸念している。同感である。
今回の改正案は、罰則だけでなく、登記手続きの負担を減らしたことが大きい。
裁判所の関与、で共有者不明の土地の売却ができるようになる。
また、行政が住民基本台帳ネットワークで死亡者を把握し、登記に反映する仕組みもつくり、死亡者が名義人だった不動産の一覧情報を発行して親族が簡単に把握できるようになる。親族側が意識が高くないとそのまま放置になるのは否めないような、しかし、簡単ならば見るかもしれないし、業者が調べてアプローチしてくるかもしれないので一定の効果はありそうですね。
私の事務所では、土地、農地転用などの権利に関する業務を行っておりませんが、大きな改正案ですので気になりますね。
土地放棄をするには、「3無」なのは知りませんでした。
・土壌汚染無し
・建造物無し
・担保無し
すでに、所有者不明の土地は九州本土の面積を超えており、2040年には北海道の面積720万ヘクタールに広がるとされています。
価値の高い土地を放置することはないのでしょうが、価値のないあるいは負担のある土地は放置されてしまうという分かりやすいこと。所有者の意識の低さがこの問題を引き起こしている面もあると思う。
今回の改正はそういう啓もう活動として一歩進んだのかもしれませんね。