外国人の在留資格・ビザ申請専門・届出済み行政書士の佐々木健一事務所です。名古屋入管(名古屋出入国在留管理局)を中心にエンジニア、通訳の就労ビザ、国際結婚、特定技能・建設オンラインに関するなど書類作成・申請を行っております。
なかなか読み応えのある記事です。
入管法改正を断念させた側の功罪を示唆していると思う。
・現行法では、来日した外国人が難民としての認定を日本政府に申請している間は強制送還ができない。結果的に施設収容が長期化している。
その対策として、改正案は繰り返し申請する人を送還可能にする規定を盛り込んだ、ということになるとしている。
→国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などは懸念を示していた。
結果的に、何度も繰り返し難民申請をする外国人が以前残り、認定率が変化しない限り現在の結果は変わらないとしている。
したがって、認定率の低い「難民鎖国」を脱する道筋は見えてこないと発している。
トルコ国籍のクルド人男性(23)のコメントが紹介されている。9歳の時に、家族と来日したようだが、当初の在留資格に関してはいつものように、記されていない。(何度も言っているのだが、最初の入国時の在留資格や状況は記すべきだと思う)
この方は、すでに4回難民申請をしているため、改正されれば送還の可能性があった。
では、この方の現在の日本での暮らしはどうなっているのだろうか?詳細は記されていないが、「就労は許されていない」→働いていないので収入はないと思われる、「県外に出るにも入管の許可が必要」と、かなり生活していくには厳しい規制・制限がある。それでも、なお、日本に残りたいのである。
それは、帰国した場合に命の危険性があるからだとのこと。
9歳に日本に来たとしている彼は、記事によると、日本人の難民に対する意識が低いのは紛争地域が遠いから(情報も入らない)無関心になるという点からすると、反対の様相を示すのが普通ではなかろうか。
その辺りは、当事者なのでリアルな情報も親類関係から入るなどということもあるかもしれないが。
難民申請が進行しないのには、次のように書かれていることが大きな要因だと私は思う。決して、日本人が難民に対しての関心が低い高いということではないと考えている。
◇出入国在留管理庁には、申請が乱用されているとの思いがある。申請から6カ月後に一律に就労を認める運用を始めた2010年に約1200人だったのが17年には2万人近くに達した。一方、運用を厳格化すると18年は半減。同庁は「退去回避や就労目的が相当数含まれていたことを示す」と主張する。◇
つまり、難民申請の中にはそもそも、在留資格違反を合法的に行うためにしている外国人の方が多いということである。
そして、そのために、行政書士、弁護士、関連企業などがあの手この手で、本来、在留することができない外国人を在留させ、就労させ時に奴隷制度と呼ばれたり、売春させたりということをしてきているのである。
もちろん、認識していない方が多いのかもしれない。いや、認識というよりも、気にしていないのかもしれない。
私の事務所に寄せられる相談はこの手のモノも多いのが現状である。実際に、在留資格申請よりも、こちらの方の案件が倍以上を占めている。
なので、「都合の良い(先の日本に残るための方策としての)難民申請はお断りする」というと、そのほとんどが、連絡取れなくなる。つまり、本当の(国に帰ると殺されるなど)難民ではなかったのだろうと思う。
苦肉の策としての弁護士らの「管理人」制度にも当の弁護士からその監督下で入管施設外で生活できる「監理措置」の新設にも批判が相次いだとしている。
弁護士の言い分「弁護士として依頼者の秘密を守る義務と両立しない」(逃亡の恐れがある場合などに監理人が入管側に届け出る義務を課している点など)はもっともであるが、もう少し、議論を深めても良いのではないだろうか、と思う。
「排除より認定基準を変えるのが先だ」という意見もあるが、入管や政府、日本人が排除を考えているだけとは思えない。
不法に入国し、違法状態をそのままにする方が当の外国人にとっても幸せなことではないと思う。
都合の良い理屈で、外国人を理由する日本人の意識を変えていくことが一番大切なことだとも思える。
そんなことを、まとめてくれている記事だと感じた。